開院4周年を迎えて〜院長ご挨拶〜

2026年(令和8年)6月1日 開院4周年を迎えることができました。我々が、この日を無事に、また健康を害することなく元気に迎えられたことは、当院についてご理解いただき、いつも信頼してご相談・ご依頼をいただいている関連事業所の皆様のお蔭様であり、この場をお借りしまして、心からお礼を申し上げたく存じます。そして、開院以来、当院の訪問診療をご利用いただいた皆様に心から感謝申し上げます。長いお付き合いの方も、人生のご最期を濃密に共有させていただいた方も、お一人お一人との時間が、我々にとってもかけがえのないものとなっており、また前を向いて頑張っていこうという力をいただいています。

 

開院当時と比べ、訪問診療を担うクリニックも訪問看護事業所も増え、在宅医療の担い手が格段に増えてきました。介護や見守りを要する方のための施設も続々と増えてきました。報道やSNS、口コミなどで、在宅医療、訪問診療について聞いたことがあるという方もかなり増えてきたのではと思います。そして、患者さん、ご家族様のニーズも実に様々になってきており、在宅医療に対するイメージや求めるものも多種多様になってきています。

 

そうした変化を肌で感じながら、患者さん、ご家族様により安心していただける在宅医療を提供できるよう日々努めています。
基本姿勢は当初から少しも変えていません。医師1名、看護師1名体制を維持することで、迅速かつ一貫性のある質の高い対応を確保し、患者さん、ご家族様に安心していただけることを最優先してきました。人を介すれば介するほど、情報が薄くなったり、ねじ曲がったりして、対応の質が下がってしまうことを実際に経験してきました。ご本人、ご家族様の立場からすれば、訪問でも電話でも、同じ人がいつも対応してくれるということは何よりの安心につながるはずです。

 

生活を最優先にオーダーメイドの医療を提供するのが在宅医療であり、ご本人様、ご家族様のニーズが一番大切になってきます。一方で、在宅医療で本当にそのニーズが満たされるのかを見極めていくのは簡単ではありません。在宅サービスによりどこまで何を担えるのか、また、ご本人様、ご家族様にどの線までは許容いただく、あるいは担っていただく必要があるか、お話しているだけでは分からないのは当然です。我々から見た意見はもちろんありますが、ひとまず導入してみて、やっぱり無理があったので方向を変えるということがあってもよいのではないかと思います。逆に、想像していたよりも不便で我慢も必要だが、それでもお住まいでの生活に代えられるものはないと再認識される方もいらっしゃいます。実際に体感していただき、ご納得いただくことは何より大切だと考えています。現在の在宅医療にはそうした道先案内や交通整理の役割も求められているのだと思っています。「人生会議」と銘打って普及が図られているACP(Advenca Care Planning)は、ご存知の方もおられるかと思いますが、死期が迫った場合に限られるものでなく、そこに至るまでの過ごし方を含むものであり、我々の平素の取り組みも、大切な意思決定支援の過程であると考えています。

 

病院の地域連携室やケアマネジャーさんからご連絡いただく中に、在宅医療を導入したとして、お住まいでの生活が本当に成り立つのかというご相談が一定の割合で必ずあります。医療や介護の制度の複雑化、ニーズの多様化により、一人の専門職が在宅医療のすべてを見通して道先案内をするのが不可能になっているということだと思っています。クリニックとしてこのようなご相談をいただいた場合、それぞれの対応方法があるかと思いますが、当院の場合は、相談員の廣井看護師がお話を伺い、在宅医療としてニーズにお応えできそうな線をお示しして調整をお願いし、あるいは直接ご本人様かご家族様とお話させていただき、訪問開始に先立って、お住まいまでご契約に伺っています。ご最期が近いなど緊急性が高い場合は、最短で当日のうちにご契約・訪問開始とさせていただいていることもあります。もちろん、ご相談のみで、訪問診療につながらないケースも少なからずありますが、在宅医療の担い手として必要な機能と考えて対応させていただいています。

 

開院から5年目の年を迎えていきますが、新たな取り組みとして、神戸市西区と明石市のそれぞれ一部にも訪問をさせていただこうと考えています。今までは、訪問範囲を拡げすぎると迅速に緊急往診できなくなってしまうのではないかと心配していたため、あえて範囲を狭くしていたのですが、実際にご相談・ご依頼をいただいて訪問してみたところ、案外心配いらないことが分かり、そうであれば地域のニーズにより多くお応えしていった方がよいと考えたからです。
少しお話がそれてしまいますが、関連事業所の方々にお会いするたびに、医師1名、看護師1名で、「いつも忙しそうなイメージ」とか「夜は寝られているのか?」などご心配をいただくのですが、お気遣いとしてありがたい反面、実際はそれほどではありませんし、無理をしてその体制を維持しているわけでもありませんので、ご相談やご依頼を遠慮いただいているのであれば、残念な気持ちにもなります。
どうぞお気軽にご相談いただけますと幸いです。

 

 2026年6月 すこやか在宅クリニック 院長 辻本 健児 拝